日本のリフト・ゴンドラ業界

世界3位のリフト総合メーカー、MNDがCIを変更し、組織改編を行いました。
MND ROPEWAYS リフト・ゴンドラ・Tバー・コンベアベルトなど。

MND SNOW 降雪機・造雪機

MND SAFETY 人口雪崩発生装置など

MND LESURE ジップライン、アドベンチャータワーなどのアクティビティ機材

www.mnd.com

今の日本のリフト・ゴンドラ事情

★欧米との差

ヨーロッパから20年以上遅れていると言われている日本のリフトたち。

業界的には世界と同じような構図ですが、この20年〜30年、リフトの新設がほぼなかったことにより業界はかなり衰退しているといえます。

新設リフトが建設されてこなかった理由はいろいろありますが、建設コストが欧米に比べて高いということも理由の一つになっていると思います。

■業界図

2020年からの新規参入のMNDグループ

イタリアのライトナー・POMA(日本の代理店はJFEプラントサービス)

世界的にも業界No.1のオーストリア・ドッペルマイヤーの日本代理店である日本ケーブル

日本も海外も、ほぼ3社(ほぼ3ブランド)に集約されます。

この10年、中国がスキー場建設ラッシュだったこともあり、各社中国マーケットには力を入れていましたが、中国もピークを越したとの見方から、少しずつ日本マーケットに目が向いています。

 

■新型リフト・ゴンドラが少ない日本

欧米では一般的になっている6人乗り、8人乗りのリフトが、まだ日本ではあまり見かけることがありません。主流が4人乗り高速リフトだったり、いまだに一人乗り、二人乗りリフトがまだ存在していたりと、欧米の関係者から見ると博物館レベルです。
先日フランスから来たスキー産業団体のみなさんは、白馬と志賀高原をめぐり、たくさん写真を撮っていました。「こんなリフトまだ使ってるの?」「二人乗りでセーフティーバーがない!」などなど。
中国から見てもびっくりされる状況になっています。(中国はこの10年で開発されたところが多く、10年以上前のリフトがあまりないというのも理由)

 

■それぞれの会社

★日本ケーブル(ドッペルマイヤー・オーストリア(DCC)日本総代理店)

グループにテクノアルペン(降雪機)、ピステンブーリー(圧雪車)やスキーデータ(ゲートシステム )がある。
オーストリアのドッペルマイヤー社の日本の総代理店を日本ケーブルが務める。調査・施工・アフターサービスまでフルサービスが強み。

今まで日本に存在した中小のリフト会社を吸収合併し、現在日本では「ほぼ」独占企業。
野沢温泉スキー場に新設ゴンドラを建設中。


★イタリア POMA (HTIグループ 日本代理店はJFEプラントサービス) グループにプリノート(圧雪車)やデマクレンコ(降雪機)がある。

一昨年前に樫山工業からJFEに代理店を変更。

2S、3Sなどのゴンドラにも強く、幅広いリフト・ゴンドラのプランがある。

スイスのツェルマットのクライネマッターホルンに新型の3Sシンフォニーゴンドラを建設し、昨年から稼働しました。風に強い3Sはヨーロッパの山岳リゾートでは活躍しそうです。

ヨーロッパではライトナーブランド、アジアではPOMAブランドでの展開だそうです。

プリノート(圧雪車)はイタリアのデザインでとてもスタイリッシュ。
グループでは風力発電機なども製作している。

 

僕が窓口を務める

★★★フランス LST社MNDグループ) グループに下記の会社があり、ワンストップで様々なソリューションが提供可能

降雪機のSUFAG

人工雪崩装置のTAS

夏のアクティビティ開発のTECHFUN

ネットやポール、安全機材のMBS

リフトゴンドラのLST

リフトはLST社で、スイスのBarthlet(バルトレ社)と提携したことにより、6人乗り高速リフト、固定リフト、ゴンドラ、そしてゴンドラとリフトのテレミックスも可能。

 

★デザイン性

右の写真のポルシェデザインのリフト・ゴンドラがある。(写真)

 

★Tバー・ZIPLINE・ムービングベルトなど

高性能なT-Barも作っていて、Tバーはほぼメンテナンスフリー。マグネットブレーキが組み込まれていたりして、同じ技術がZIPLINEにも使われています。

 

★人工的に雪崩を安全におこす機械

ガゼックスという人工的に雪崩を発生させる機会では世界シェアトップ。

近年新型のオベリクスというタイプが出て、それが使われつつあります。
(写真の宇宙船のようなタイプ)

 

★コストを抑えることが可能

代理店を介さず、直接契約をすることで、様々なコストを削減することが可能です。

しかも建設においては、建設会社を発注側が用意できるので、コストを安く抑えることが可能。

建設コストなど、スキー場が関係のあるところに発注できるので、明瞭会計です。

 

■実績のない会社だと不安?

日本で実績のないLST社のリフトを紹介すると、必ず一言目に言われるのが、日本で歴史がないので、アフターサービスが心配という意見。

僕の持論は、セルフのガソリンスタンドと一緒で、フルサービスを求めればコストは高くなるし、自分でメンテナンスできるところは自分でやれば、コスト削減はできます。


電話一本できてくれるところがよければ、高いお金を払わなければならないし、ある程度自分たちも勉強して、メンテナンスできるようにトレーニングすれば、そこまでコストはかかりません。しかし、スキー場を長期的に安定して運営するには、コストは下げるべきと思っていますし、これからの時代、リフト・ゴンドラだけではなく、降雪機や夏のアクティビティにも投資していかないといけません。

 

消耗するパーツはわかるので、最低限持っていればいいし、電気系統のわからないところは専門家に任せるなど、新しい機材ならではのメンテナンス方法を取れば、日本に実績が少ないLST社のリフト・ゴンドラでも大丈夫だと思っています。

ちなみにLST社の電気系統は日本電産のイタリアの子会社が作っていますので、色々な意味で安心です。

■リフトの建設は特殊?
建設する際に地元の建設会社を使うメリットの一つが、一緒に建てることで仕組みをより理解でき、メンテナンスを自分でやりやすくなります。

リフト建設は特殊すぎて通常の建設会社には建てられない、と僕の言われたことありますが、本当にそうでしょうか?
日本は東京スカイツリーだって建てられるし、技術的に本当にできないのでしょうか?

 

■新型だから

今までは20年選手のリフトだから、治し方がわからなかったり、わけのわからないエラーメッセージが出たり、パーツが手に入らなかったりして、メーカーに頼ることが多かったと思いますが、新型はそんなことないので、考え方やメンテナンスのスケジュールなど、見直すことが可能です。

 

■降雪機SUFAG

降雪機のSUFAGはすでに長野県上田市のスノーソリューション社が日本の代理店で、車山高原やエコーバレーで降雪機が稼働しています。

 

■MNDグループは、2020年に日本で本格稼働予定をしています。

世界的にも新型のロープウェイを建設したりしており、実績はある会社です。

下の動画はマダガスカル島の近くのレユニオン島に建設しているロープウェイの紹介動画。

こっそりヨーロッパでのリフト、ゴンドラ建設の際のコスト感を書いちゃいます!!!
スキー場経営者の方は参考してもらえればと思います。(ちなみに下記概算コストは機材代のみ、日本までの輸送費含みます)
+ 建設コストはヨーロッパだと上記コストの30%程度を計算しますが、日本だともう少し高くなるかも。

    • 自動循環式 8人乗りゴンドラ(MNDの場合はポルシェデザインのゴンドラ)
      概算ですが、2000mで機材代のみで9億円〜11億円

    • 自動循環式 6人乗りリフト(MNDの場合はポルシェデザインのチェア)
      概算ですが、2000mで機材代のみで7億円〜9億円

    • 自動循環式 テレポートミックス(8人乗りゴンドラと6人乗りリフトのミックス)
      概算ですが、2000mで機材代のみで8億円〜10億円

    • 固定循環4人乗り
      概算ですが、1000mで機材代のみで2億円〜3億円

    • 固定循環 ゴンドラ
      概算ですが、1000mで機材代のみで2億円〜4億円

    • Tバー(日本では見かけなくなったけど、オペレーションコストで群を抜いているTバー、ヨーロッパではまだまだ現役)
      概算ですが、1000mで機材代のみで5000万円〜8000万年

    • ムービングベルト
      概算ですが、100m 機材代のみで1500万円〜3000万円